一人暮らしも強引に始めた

一人暮らしの友人からの連絡がきて、素晴らしい生活の話を聞かされる。当然憧れもするけど、そっち側には今のところ行く気はない。しかし、月日が経ち衝撃を受けてヘコんでしまう。

昔から彼女はそうだった。冷静に考えれば強引過ぎる理由でもって、他人を納得させるのである。例えば、文化祭の出し物について話し合った時のこと。まったくやる気のないクラスメイト達が、郷土歴史の研究発表という何とも眠たげな展示でいこうという意見に落ち着きかけた際、ただ1人「喫茶店がやりたい」と言いだし、ブーイングの嵐をおこしたことがあった。だが熱狂的な演説を披露し、次の日にはすっかり級友全てをその気にさせてしまう。そもそも、一人暮らしを始める時もそうだった。

一人暮らしの開始には苦労してる

最初彼女の一人暮らしに、両親は猛反対していた。経済的な理由ではない。その父は企業のトップを務めるような非常に裕福な家庭環境で、しかも母の実家は大病院というフルコース。単純に箱入り娘なのである。1人っ子である娘を手元で蝶よ花よと育て上げ、ゆくゆくは有力なお家から婿を迎え入れ、後継に据えようという思いがあったらしい。当然、親と別居して生活してゆくなどという意見は、真っ向から否定された。そこで得意の説得が始まったらしい。

一人暮らしは自分の力の証明

「でもねえ、これからは出来るだけお父さんやお母さんを頼らないようにしようと思ってるんだ。いまどき自分で生活出来ないなんて、この先やっていけないでしょう?親のすねかじって生き、そのうち見合いしてろくに知りもしない相手と結婚して…小さい頃から聞かされてきた道を進んでいくなんて、何だかつまらないじゃない?私だって一人暮らし出来るってことを証明して見せたいの。」チューハイを片手に言う彼女の口調は、とても強いものだった。

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